今回は営業の基本を解説します。
この記事を最後まで読めば、初めて営業をする訪問マッサージ師や鍼灸師の方でも営業の全体イメージがつくようになります。
1.営業の流れ
大体の流れは次のとおりです。
②ケアマネが利用者さんへ声をかけ
③利用者が承諾し
④やっと自分に依頼がくる
基本的に営業対象となる職種は「ケアマネジャー」です。
ケアマネは概ね月1回のペースで利用者さんへ訪問します。(急な案件がない限り)
なので営業後、ケアマネが必要だと思ったサービスを利用者へ提案するまでタイムラグがあるということですね。
さらに利用者がサービス提案を受け入れるかどうかも時間がかかる場合があります。
そのため今日営業したから今月中に紹介来るかもワクワク、というのは結構な幻想なのでもう少し長い目で見て営業をしていきましょう。
ここから分かることは、
2.ゴール設定
まず施術所全体で何件の紹介が欲しいかを検討します。
ここは曖昧にしないようしっかり計算します。
沢山欲しいぃぃ!
これは失敗パターンにハマるのでNGです。
例えば下記のように考えます。
【施術者A】
・9:00〜18:00勤務(昼休憩1h)
・1週間の勤務時間=40時間
例えば、概ね1時間に1件程度の訪問予定を組むとします。
そうすると、【施術者A】は40コマの枠があることになります。
コマ?
1コマ=1回の施術だよ。
次に、患者さん一人あたりにつき1週間のうちに何回施術に入るかの平均値(1週間の平均施術回数)を考えます。
例えば【施術者A】の訪問状況が下記の状態であったとします。
患者A・・・月、木 (2コマ) 患者B・・・月、水、金(3コマ) 患者C・・・月、木 (2コマ) 患者D・・・火、木、金(3コマ) 合計10コマ
【施術者A】の1週間の平均施術回数は10コマ / 4名 = 2.5コマ となります。
特別なアプローチをしなかった場合、平均2コマくらいになることが多いと思います。
今回は1週間の平均施術回数が2コマだったとして進めていきますね。
【施術者A】の現在の状況は
10/40コマ =残り30コマ空いている。
30コマ / 平均施術回数2コマ = 15名
現在、受け入れられる患者数は15名ということが分かりました。
なので、営業の目標件数は15名です。
そしてこれをいつまでに獲得するか?を決めます。
冒頭でお伝えした通り概ね4段階の経過を経て依頼が来ます。
②ケアマネが利用者さんへ声をかけ
③利用者が承諾し
④やっと自分に依頼がくる
①から②までが1日〜60日後くらい
②から③までが1日〜30日後くらい
③から④までは、承諾後すぐに。
このようなペースです。
ここは僕自身の経験則で申し訳ないのですが、目標件数15名程度であれば、毎月挨拶回りを200件+郵送営業をきっちり行えば3〜4ヶ月くらいで達成すると思います。
遅くても6ヶ月あれば大丈夫だと思います。
もし既に開業していて実績のある先生でしたら、更に加速するはずです^_^
独立開業をしたばかりの先生であれば、3ヶ月後を目指して頑張ってみましょう!
3.営業の対象先
初めて営業をする場合、どこに営業に行っていいか分からないですよね?
独断と偏見にはなりますが、ここの施設には営業を行っておこう!というリストをお伝えします。
・地域包括支援センター
・居宅介護支援事業所
・小規模多機能型居宅介護
・看護小規模多機能型居宅介護
・サ高住(サービス付き高齢者住宅)
・有料老人ホーム
【優先順位:高】は必ず営業しましょう。
どこかは必ず紹介を頂けるのと、地域包括支援センターは「開業したばかりで仕事欲しい」という事情を考慮してくれる場合があります。
【優先順位:中】はどの順番でもOKです。
個人的には、有料老人ホームは提携している可能性があるので郵送営業を主としておいて、営業時の感触で今後も営業するかどうかを決めていくのがよいかと思います。
↓営業対象の探し方、リストの作り方はこちらをどうぞ↓
4.ケアマネが求めているもの
ここまでで営業の流れ、ゴール設定、営業の対象先が分かりました。
次にケアマネが訪問マッサージ、訪問鍼灸に何を求めているのかを整理してみましょう。
あくまでも経験則に基づく推測ですが、このあたりがまとまってきた頃から営業成績は良くなった記憶があります。
求めていることの結論としては
シンプルにこの3つです。
結局のところ、ここから紐付けていくのが一番です。
まず大前提として
あん摩マッサージ指圧師・・・マッサージをしてくれる 鍼灸師・・・・・・・・・・・はりをしてくれる
恐らくこれぐらいのイメージを持っています。
あはき師に言わせてみるともっと違うイメージが湧き出てくると思いますが、ケアマネから見たイメージはこんなものだと思います。
例えばあはき師に理学療法士は何をしているか御存知ですか?と聞くと、
「リハビリ」とか「歩行訓練」
と答えるのと同じくらい浅いイメージです。(怒られますかね?笑)
もちろんもっと深く答えられる方はいらっしゃいますが、それはごく一部の少数派です。
みなさんが相手にするのは大勢いる多数派の浅いイメージの方です。(怒られますかね??笑)
なので、
マッサージ・はりから連想できる部分で勝負をしていくことになります。
連想できるものは
マッサージ ↓ 揉む・リラックス・気持ちいい ↓ 疲労をとる・重だるさをとる・硬さをとる・痛みをとる はり ↓ お灸をすえる?熱い?痛い? ↓ 疲れはとれそう、、?
営業を長年し続けて、大多数の方はこんなイメージぐらいだと感じました。
もちろん理解の深いケアマネもいるのでこの限りではありません。
それでも◯◯の疾患にマッサージを当てはめたら□□という状態が改善できた、というぐらいの限られた部分の理解だと思います。
なので営業はここから紐解いていかないといけないんですね。
4−1.オススメの提案
これらと、疾患を当てはめる方法です。
例えば、「パーキンソン病と痛み」
パーキンソン病は年数経過に伴い4大徴候と前傾姿勢が強くみられるため、頸部・肩部・腰背部・下腿に重感や疼痛を感じていきます。
無動、不動によるもの。
つまり同一姿勢によるものが多いので、極端に言えば事務職員のデスクワークによる肩こり腰痛の究極バージョンみたいのものです。
これらは、マッサージや鍼灸によるアプローチで症状の改善(または緩和)を狙っていくことができますよね。
つまり
パーキンソン病について 1.概要を一言 2.関連症状について 3.その症状はマッサージ(や鍼灸)でとれます 4.なぜなら◯◯という効果が期待できるから 5.気になる方へぜひお声掛けください
こんなところを訴えていけばOKです。
機能訓練できますとか、見守りの代わりになりますとか、環境整備できますとか、認知症の予防になりますとか、、、ごく一部求めている人がいるのは事実ですが、大勢ではないというところを肝に銘じておきましょう。
5.1ヶ月の割り振り
では、実際に1ヶ月間のスケジュールを組んでみましょう。
ここはやってみないとイメージつきにくいと思いますので、僕自身の例を見本として掲載します。
1〜10日・・・郵送営業、経過報告書の配布
11日〜31日・・・挨拶回り、次月の書類準備
シンプルですが、このルーティンをこなすことです。
200件以上の営業先がある場合、11日〜31日の1日あたりの営業件数が14件くらいになるので、挨拶回りの効率を考えたりします。
ある程度の件数を1回だけではなく複数回(=複数月)営業に行くことも必要です。
6.対面営業と郵送営業
営業には大きく分けて2種類あります。
対面営業と、郵送営業です。
基本はこの両方をバランス良く実施していくことが成果への近道です。
それぞれのメリット・デメリットを解説します。
6−1.対面営業のメリット・デメリット
【メリット】
【デメリット】
人柄に自信のある方は積極的に対面営業の戦略を練ってもいいと思います。
このとき、伝える話題は多くても2つか3つまでにしましょう。
理想は、対面営業の話題は一つだけ持ち込んでいくことです。
営業先へ初訪問であれば営業の目的は【挨拶しにきた】だけで行く。
営業2回目の訪問であれば、【◯◯疾患についてのまとめ情報もってきた】だけで行く。
多いと消化不良で終わることがほとんどなのと、ケアマネも忙しい(と理由をつけてくる)ので切られます。
6−2.郵送営業のメリット・デメリット
【メリット】
【デメリット】
郵送営業も積極的に仕掛けてよいと思います。
特に開業挨拶の場合は挨拶回りで時間が非常にかかってしまうので、さっさと郵送を送って開業した旨をお伝えした方が良いと思います。
基本セットは下記のとおりです。
・封筒 ・送付状 ・ニュースレター ・申込書 ・名刺 ・パンフ ・付箋
封筒、名刺、パンフあたりはココナラへ依頼するなど他の人の力を借りることも必要です。
7.営業のかけあい(例)
実際に営業した時のやりとりをご紹介します。
大まかな流れを掴んで頂けたらと思います。
【開業挨拶パターン】
はじめまして。◯◯院のしょちょーと申します。
本日は開業の挨拶に伺いました、ケアマネージャーさんはいらっしゃいますか?
私ですが。
恐れ入ります。改めまして、◯◯院のしょちょーと申します。(名刺を差し出す)
はい、◯◯事業所の□□と申します。(名刺を差し出す。渡してくれる雰囲気でなければ「頂戴できますか?」と言う)
◯月に訪問マッサージと鍼灸、機能訓練をする会社を(誰もが知る特有の場所・地域名)にオープンしまして、◯◯区全域を訪問対象としております。
なので、現在ほとんどの時間帯で訪問を承れるのですが、どなたかご希望の方などいらっしゃいませんか?
そうですか、いまのところはいませんね。
そうですか。ありがとうございます。
では、何かありましたらこちらの番号までお願い致します。(パンフ一式をお渡しする)
こちらですね、分かりました。
それではお忙しいところ、お時間を頂戴してありがとうございました。
精一杯やらせて頂きますので、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
いえ、こちらこそ宜しくお願い致します。
色んな営業テクニックが溢れていますが、ハッキリ言ってやらなくていいです。
こんなもんでいいです、初回の挨拶ですから【挨拶】で終わらせましょう。
何か聞かれたら会話を広げていけばOKです。
【ニュースレター持参挨拶パターン】
お世話になっております。◯◯院のしょちょーと申します。
本日はケアマネージャーの◯◯さんにご挨拶に伺いました、◯◯さんはいらっしゃいますか?
はい、お待ち下さい。
あ、どうも。
◯◯さん、お世話になっております。◯◯院のしょちょーです、すいませんお忙しかったですかね?
大丈夫ですよ、今日はなにか?
はい、ありがとうございます。
今回、◯◯疾患についてマッサージ師がアプローチしたときの効果。
についてまとめたので、訪問途中だったのですが、ぜひ◯◯さんにお渡ししたいなと思いまして、、、。
そうですか、わざわざありがとうございます。
◯◯さんは現在、◯◯疾患をお持ちのご利用者さんはいらっしゃいますか?
はい、何名かいますよ。
もしその方たちが痛みとか不調でお困りでしたら、ぜひこの資料を参考にして頂けたらと、、、
わかりました。
〇〇さん、ありがとうございます。
また今後とも宜しくお願いいたします。
ケアマネのニーズを引き出してとか、もっと会話をしてとか、、、
そんなものいらないです。
こんなんでいいんです。
何か聞かれたり、会話が続くようなら深ぼりしてコミュニケーションを図るくらいの気持ちでOKです。
オススメなのはご自身でいくつか会話の想定集を作っておくこと。
ケアマネさんに質問されることなどを書き出しておいて、なんて答えたらベストかな?
と実際に声に出して練習しておくことです。
営業移動中は上記のことを考えて、回答を小さい声で出してます。
まとめ
もしあはき師の方で営業をこれからしよう!と思っている方は、営業という意識を持たないほうがいいと思います。
治療家らしく接して、これからこの地域で長くお付き合いをしていくパートナーとしてコミュニケーションを深める。
いいですか?
売り込むのではなく、、、
関係性を深めに行くんです。
ケアマネも人間です。関係性が深まっていけば自ずと紹介に至ります。
あとは利用者の状況やタイミングによってくるので「紹介クレクレマン」になるのではなく、その時がくるまでこちらから先にGIVE(情報や価値を先に与えていく)をしていく。
こういう心持ちであれば、細かい営業テクニックとかはいらないです。
焦らず、余裕をもった挨拶回りを心がけていきましょうね^_^
以上、参考になれば嬉しいです。今日もありがとうございました!
この記事で分からないことや、聞いてみたいことがあれば気軽にご連絡ください。
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